倉庫の運用コストを削減するための5つのヒント

近年、より迅速で効率的な倉庫や配送センター(DC)を実現するための機能の向上により、消費者中心のサプライチェーンへの移行が加速しています。また、消費者の80%がコロナ禍で採用した購買行動を維持しているため、この「カスタマーエクスペリエンス」のトレンドは、eコマースとマイクロフルフィルメント業務の最前線にあります。そのため、運用効率はこれまで以上に重視されます。

カスタマーエクスペリエンスが劇的に変化し、「Amazon効果」（かつてないほどの選択肢と可用性、かつてないほどの速さで提供されること）が、ほぼすべての業界の顧客行動に浸透していることは周知の事実です。しかし、使いやすいeコマースストアやオンライン注文ポータルがあるだけでは、ますます高まる顧客の期待に応えられません。カスタマーエクスペリエンスは、もはや商業チームだけの課題ではなく、オペレーションでも最優先事項となっています。オーダーフルフィルメント、配送、返品に関連する不満足な体験は、この新しい時代において顧客関係を左右する重要な要素です。

多くの企業が、顧客の期待に応え、超えるために、倉庫の自動化にますます注目しています。一方で、サプライチェーンの合理化への新たな投資により、ビジネスリーダーが運用ROIを実現することもまた、これまで以上に重要視されています。運用コストを大幅に削減できる5つの方法をまとめました。

1.床面積を増やさずに収納容量を拡張する

調査によると、倉庫容量利用率の改善を求める施設は66%にのぼります。需要に対応するためのスペースが不足している場合、一般的にはより大きな施設に移転するか、現在の敷地を拡大する必要があると考えるでしょう。しかし、倉庫密度の概念を活用すれば、別の方法があります。施設の拡張、より大きな建物への移転、またはスペースの追加は、コストがかかり、業務に支障をきたします。

従来の倉庫のほとんどは、スペースを最大限に活用できないようにレイアウトされています。上部や周囲のほとんどがデッドスペースで、貯蔵密度が低くなります。通路のスペース、棚にある製品の上の空きスペース、そして棚の上にある空間（人や機器の手が届かないため）など、「利用可能」なスペースの大部分は未使用のままであることがわかります。

自動保管システムは保管密度を高め、同じスペースにより多くの製品を保管するのに役立ちます。キューブ型保管は、AutoStoreが開発した自動倉庫システム（AS/RS）と呼ばれる革新的な次世代のテクノロジーを提供します。キューブ型保管は、これまで使用されていない「デッドエア」スペースを活用することで、市場のあらゆる倉庫自動化テクノロジーの中で最も高密度の保管容量を提供できます。

大抵の場合、業務の中断を最小限に抑えるために、キューブ型保管システムを段階的に導入し、最終的に75%以上の保管スペースが削減されます。これにより最大保管容量が増えるだけでなく、SKUの拡充も実現できます。

2.最大限の労働力を活用する－作業員が商品を取りに行くのではなく、商品を作業員に届ける

一部の倉庫や配送センターでは、作業員は1日に最大24.14kmもの距離を歩いて商品を探したり取り出したりしています。効率的な経路計画や移動手段があっても、依然として作業員がアイテムのピック間を移動する時間にはコストがかかっており、より速い方法を見逃しています。

「Goods-to-Person」ソリューションとして、キューブ型保管やその他のテクノロジーは、作業員がワークステーションから移動することのない、自動化されたワークフローを促進することができます。商品は、注文された順序でピックされ、作業員のもとに届けられます。テクノロジーは、人間よりもはるか高速に商品を探し出します。

ボタンを押すだけで、次に必要なビンが用意されます。このオーダーフルフィルメント方法は、手動でピッキングするよりも430%以上高速です。以前は数分かかっていた処理が、今では数秒で行えます。商品の場所を探すだけで時間を無駄にするのではなく、ほぼすべての時間をオーダーフルフィルメントやその他の品質チェックに費やせるため、労働力の有効活用が大幅に向上します。

倉庫と物流センターの73%がスループットの向上を目指しており、71%がピッキング効率の向上を必要としていることから、多くの業務にとって、これは現在日常業務で実行できる最も効果的なコスト削減策であるといえます。

3.自動化を活用して予備労働力を拡大し、定着率を高め、不適切な注文返品の処理を減らす

これらは一見つながりのない要素に見えますが、人間工学に基づくインターフェイスを備えた適切なオートメーションを提供することと捉えるとわかりやすくなります。

自動倉庫システムには、人間工学に基づいたアクセスポート、インターフェイス、またはコンベヤーシステムがあり、業務をより簡単に、より作業しやすくすることができます。これにより、より多くの人々に幅広い仕事の機会が与えられます。

人間工学に基づいたワークステーションを作ることで、ピッキングとオーダーフルフィルメントのプロセスがより自然なものとなり、誰でもより快適に仕事ができるようになります。また、従業員も一日中動き回って疲弊することがなくなります。このようなメリットは他では得られないものであり、多くの作業員が働き続けたくなるような職場環境作りに寄与します。

適切なインターフェイスは、人的エラーの要因を減らすのにも役立ちます。毎回同じ方法で注文を処理できるように商品が届くので、商品を探すフラストレーションがなくなり、間違った商品をピッキングするリスクもなくなります。必ず注文通りの商品が入ったビンが届きます。小分けされたビンに入っている小さな商品については、適切な商品を取り出せるようにライトで照らすことができます。これにより、高速な作業環境でも誤った判断をするリスクがなくなります。

倉庫と物流センターの52%は注文の精度向上を目指しており、55%はコスト、非効率性、雇用と維持に関する不安から労働力の削減を目指しています。自動化された資材処理技術により、企業は手作業の必要性を減らしながら雇用プールを拡大し、より理想的な作業環境を作り、プロセスを大幅に改善して正確なオーダーフルフィルメントをより確実に行うことができます。

4.保管方法を再考し、損失と偶発的な損傷率を低減する

作業員に注意してドアを施錠するように頼んでも、時には忘れてしまうかもしれません。棚に在庫を保管すると、コストのかかるエラーの余地が大きくなります。棚から取り出すときに落下した商品は損傷します。盗難防止装置がなければ、簡単に盗まれてしまいます。在庫が複数の場所に保管されてしまったら、注文のカウントや識別が困難になります。

AS/RSソリューションなどの自動保管システムでは、アイテムがトートやビンにしっかりと配置され、保管グリッド内にしっかりと積み重ねられます。作業員はグリッドにアクセスできず、商品がどこに保管されているかは意識しません。商品は、ビンに入れた後、分離したり、ぶつけたり、置き忘れたりすることもありません。ロボットのみ商品にアクセスできるので、非常に正確に在庫数を把握できます。オーダーフルフィルメントのためにビンがワークステーションに到着すると、注文されたアイテムのみが取り出され、残りの商品はビンに保管されたままになります。

5.履歴を調べてシングルポイント障害を回避し、運用リスクを軽減する

運用を続けていると、消耗によって機器のメンテナンスが必要になります。予期せぬシャットダウンにより業務全体が停止すると、コストがかさみます。システムの一部がメンテナンスのためにオフラインになった場合でも、業務を効率的に継続できるソリューションを探す必要があります。新しいソリューションを検討する際には、システムの回復力、具体的には「一部の機器がオフラインになった場合にシステムがどのように動作し続けるか」、また「通常オンラインに戻るまでにどのくらいの時間がかかるか」について確認する必要があります。

ソリューションの耐久性、マテリアルハンドリングの長寿命、そしてシステムの柔軟性が実際のアプリケーションでどのように持続するかを確認するために、顧客の過去の使用履歴を参照しましょう。長期的な施設のソリューションを選ぶ際にリスクを減らすためにも、長期間使用されている顧客サイトを訪問し、ソリューションの寿命やビジネスと共にどのように成長し、適応したかを確認することをお勧めします。